さくらちゃん教

誰かの言葉に魅せられて離れられない時ってありますか。その人を尊敬し、その考えを尊重しそこに重きを置いて行動した時、それはもう宗教なのかもしれません。

わたしは勉強ができる


「東大女子って他大女子を見下している気がする」



恋人や元恋人の東大男子とお話ししているとこんな風にたまに言われる。ここでいう東大女子は、にごしているけれど、わたしのことでしょうね。
正直、なんてアホなんだろうと思う。だいたい、こんな流れになるのはいつも彼らの他大の彼女だったり親友の女の子の話をする時なのよ。


「その子の話をわたしの前でするの、ちょっと嫌」

っていうのをつばと一緒に飲み込んで、「かわいいよね」「文章うまいよね」とか言ってあげているの。それなのに、ちょっと「あれ、東女だっけ本女だっけ?どっちかあんまり区別つかないかも」と、耐えかねて少し皮肉を言ってしまうと、見下しているという判断になるのだ。

きっとわたしは、好きな男の好きな女が他大女子だろうと東大女子だろうと同じように嫉妬するんだ。ちょっと皮肉を言ってしまうんだ。自分でも少々ダサいと分かっているけれどどうしようもない。そんなわたしの心に広がる前提条件も忘れてしまっているの、男は。


でも、本当にわたしが他大女子のこと見下していると思う?東大女子なんて、こんなに世の中に少ないのに他の女の子に壁を作ると思う?高校の仲良い友達だって全員東大じゃあないのに、ばかにすると思う?

しないわよ。

そんな生きにくい選択肢をわたしは選ばない。そんなにわたしはばかじゃあない。
そりゃあ、わたしだって自分が東大に入れるくらい頭がいいことに少しくらいプライド持っているわよ。他の女の子たちとはちょっと違うなんて思うこともある。けれどどんな女だって、私はそこら辺の子達とはちょっと違うのよって思って生きている。だから私だけが東大ってことに少し優越感を抱いてるだけでなくて、可愛い子は可愛いことに優越感抱いてるだろうし、可愛くなくても勉強できなくても、ファッションなり付き合ってる男だったりに優越感を持って「ふんっ」ってすまして歩いているのよ。


それにわたしは、なにもそんなに勉強ができることに自信を持っているわけではない。むしろ、つくづく勉強なんかできるより美人に生まれたかったと思う。

「ああ〜、かわいい方が絶対に勉強できるより社会ではお得!」

そういって周囲の人を困らせることもしばしば。

「容姿も大切だけどそれだけじゃあないよ」

こんな言葉もある。でも、腹の底では「美人が好きだ!」って思っていても公に言ってはいけないことといいことってもんがある。「美人が好き!」ってどんなお顔の人に対しても主張するのはあんまりよろしゅうないですよ。そんな現実から目を完全に背けるのもよろしゅうない。だから、私もまだまだ足りないかもしれないけど、YouTubeでメイク動画を何百回も再生してるし服だってそんな興味ないけど友達と買いに行ったりする。そもそも、美人じゃないからこそ早々に戦略を変えて勉強を頑張った部分だってあるのだ。だから、少しくらい無いプライドを掘り起こしたっていいじゃない。


わたしもそこらへんの大量の東大生と同じ。大学に入ってから、勉強でも他の特技なりなんなりの点でも、自分のちっぽけさに絶望してプライドなんてそんなにあるもんじゃあない。
東大男子の恋人ができた時は、必ず、

「ねえ、なんでわたしと付き合ったの?やっぱり、東大には女子が圧倒的に少ないからでしょ」

と答えなんて丸わかりなのに”一応”聞いてしまう。それでやっぱり、

「そりゃあ、東大の中だと女子の方が有利だから僕があなたのこと好きになる確率が高まるのは当たり前なんじゃない?」

ってなんのためらいもなく言ったりするわけ。嘘くらいつきなさいよ。ねえ、でもわたし一年通してもう知ってるわ。東大男子の中でも、東大女子と付き合いたいって人が意外とたくさんいること。「東大女子の方がいいかも」と言う男は揃って、

「だって、自分と同じくらいの学歴の方が話が合いそうじゃん」

って言うのよ。でもわたしは一年通してさらに学んだわ。そんな理由より、もっと大きな理由は別にあることを。『美人と付き合うと男の株も上がるように、希少価値のある東大女子と付き合うと自分の価値が上がりそう』ってのがほんとうのところだとわたしは感じている。その証拠に、東大女子と付き合って別れた男はケロっと他大女子と付き合って「そんな変わらないもんだな」とか「東大女子は面倒くさい」なんて言ったりしてるのよ。


よくよく考えてみたら、もっと「わたしは勉強ができる」ってことにプライド持っていいはず。美人だとか歌が上手だとかオシャレだとか優しくて清楚だとか、そんなことと並列に「わたしは勉強ができる」ってことが、わたしが好きな男をつかまえることができた要素だって。そう思わない?
というか、東大の中で恋愛において女子の方が有利だから選ばれたってことばっかり考えていたら、どんどん自己肯定感が下がるばかりでやってられない。有利な土俵に立つことができたわたしがすごい!って開き直るしかないのよ。




どうして、素直に嫉妬をしてはいけないの。どうして、その子が可愛いことや歌が上手かったりオシャレだったり、美術だったり文学だったりそういうことに優れていることに素直に嫉妬してはいけないの。どうして、「かわいいね」とか「キラキラしてていいなあ」って言うと「ばかにしてるでしょ」って東大男子に言われなきゃいけないの。そしてどうして、私自身は受験勉強に強かったってことに素直にプライドを持ってはいけないの。
「わたしは美人だけど、あの子はブスじゃん」って声に出して誰も言わない。「わたしは頭いいけどあの子はそんな頭良くないじゃない」って面と向かってなんて、わたしも言わないよ。



きっと、私に「他大女子のこと見下してる感じがする」と言った彼は、私のことを勉強でしか優位に立つことのできない可哀想な女って哀れんでいるでしょうね。でもなんだっていうの。私は勉強で優位で彼女は他のことで優位なだけで、そういう風に見れば私と彼女は同じようなもんじゃない。



他に何か彼女が私より優れてる点といえば、そうね、あなたに好かれていることだけよ。