さくらちゃん教

誰かの言葉に魅せられて離れられない時ってありますか。その人を尊敬し、その考えを尊重しそこに重きを置いて行動した時、それはもう宗教なのかもしれません。

誕生日が苦手なんだ。

わたしは誕生日が苦手。どうしても自分の嫌な本性に気付いてしまうから。


誕生日になると、どうしても、自分の承認欲求に苦しむ。カーネギーのいうところの「自身の他人に対する重要感への欲求」が湧いてきてしまう。つまり簡単に言うと、無意識に、友達や知り合いが自分の誕生日を覚えていることを期待してしまうし、覚えていることを当たり前みたいな気がしてしまう。それに、誕生日なら自分が主役だろうという気持ちになって、なんだか少しわがままになってしまう。

これは全部無意識で、意識的には「誕生日だからってどうってことない。ただ歳をとっただけだし」と言い聞かせているのに、誕生日に少しでも私にきついことを言ってくる人がいるとムッとしてしまう。

すごく嫌だ。......18、19、20歳にもなって、まだこんな幼稚な部分がわたしにあったんだって毎年思う。

 

いつの頃だろうか、誕生日が苦痛になり始めたのは。たぶん、誕生日に1000円分くらいのプレゼントをあげるという半ば儀式的に行われていたあの小学校時代が終わって、儀式ではなく気持ちで相手の誕生日を祝うようになってからだ。

小学校を卒業してから、こんなに誕生日にぞわぞわとしてしまうようになるなんて。人に祝われるほど好かれている自信がなかったからか。祝われるほどのことを私ができていないのを自覚していたからか。

あの小学生の儀式が大人になっても一生知り合い間で続くか、それか、誕生日なんて、もともと祝うものじゃなければよかったと毎年思う。

 

それに問題は自分の誕生日だけじゃあない。

自分に"祝うべき"誕生日があるせいで、他人の誕生日を素直に祝えない。

仲良い子になら、「おめでとう!」とスルッと言えるけど、プレゼントは渡す気になれない。プレゼントを返して欲しいという下心があるのではと相手に思われたくないから。知り合いくらいの子に誕生日おめでとうという気持ちが湧いても、おめでとうと言えない。そこまで仲良くもないのになんで、って思われたくないから。

どちらも、自分の誕生日の時に、それらの物や言葉を返して欲しいという気持ちが自分の中にあることが否めない。もし、そんな気持ちがなくなったら、気が赴くままにおめでとうと言えるのに、プレゼントもあげられるのに、なんでこんなにひねくれてしまったんだろう。

 


こんなに理不尽な日はない。いつもなら普通なことがこの日だけは、全て不服になる。

誕生日の朝は必ず、いつもより早く目がさめる。

朝少し顔がむくんでいる。先に起きていた妹が朝一で「誕生日おめでとう」と言ってくれない。昨日遅くまで起きていたせいで肌の調子が良くない。水筒の水をこぼした。誕生日なのにバイトがある。仲良い子に今日という日を忘れられている。眠い。親に洗濯物しろと言われる。

そんな普通のことが、とても、普通の日の出来事すぎて嫌なのだ。

普段なら大したことがないことにいちいち気がついて、そんな些細なことに誕生日だからということでイライラしている私自身の幼稚さ気がついて、早くこんな日終わって欲しいな。

 


じゃあどうすればいいんだろうと、考えたけど、もう解決策はない。だって、わたしは誕生日に完璧で特別なことを求めている。誕生日だからって完璧な日が訪れるわけじゃあない。「おめでとう」と言われて「ありがとう、覚えててくれて」と返しながらも心のどこかで当たり前だと思っている気がする。全ての知り合いに「おめでとう」と言われて、恋人に丁寧に祝われたとしても、誕生日は完璧が当たり前だから、それ以下なら嫌な日になる。だからもう、これから私の誕生日は必ず嫌な日なのだ。

 


こう言っておきながら、私は人の誕生日を全然覚えられないってことも、さらに自分を苦しめる。私にとって他人の誕生日はそこまで重要でない。だったら、私の誕生日もそこまで大したことないものだと思えばいいのに、ともう1人のわたしが言う。

どれだけ、自分が自分にとって大切な存在で、他人とは比べ物にならない存在なのか。

 


言葉に表したら、少し楽になった。もう、誕生日は嫌な日だって思えばいいって多少なりとも自分を納得できたから。


もともと、インスタとかTwitter上で、自ら誕生日アピールする人は恥ずかしくないのかとずっと思っていたけれど、今回初めてしてみたらいくらか気が楽になった。みんながわたしの誕生日を覚えているかもしれないという期待を背負わなくてすんだ。みんな覚えてるわけがないんだよなあ、他人の誕生日なんて。覚えている人がいたらそれはすごい人だよ。

 

覚えててくれた人ありがとう、覚えててくれなかった人もこの1年間ありがとう。これからも仲良くして欲しいな。